お気に入り詩を集める①
気に入っている詩をただ羅列していく。定型詩(俳句、短歌など)は一旦含めない。
5個ずつ並べていこうかな。
①かなしみ(谷川俊太郎)
あの青い空の波の音が聞えるあたりに
何かとんでもないおとし物を
僕はしてきてしまつたらしい
透明な過去の駅で
遺失物係の前に立つたら
僕は余計に悲しくなつてしまった
- 出会った場所:茨木のり子『詩のこころを読む』
- 収録:詩集『二十億光年の孤独』
- 「すべてが曖昧で、それなのに、へんに澄んだ世界」
- とんでもないおとし物=青春のような気がする
②くるあさごとに(岸田衿子)
くるあさごとに
くるくるしごと
くるまはぐるま
くるわばくるえ
- 出会った場所:茨木のり子『詩のこころを読む』
- 最終行の衝撃
- 「大人も子供も、毎日毎日、時計のぜんまいを巻くように、ぎりぎり予定を巻きあげて日程を消化するのにせいいっぱい。」
③詩 又又又(堀口大学)
一人の心に灯をともす
別の一人に欠伸をさせる
- 出会った場所:谷川俊太郎『詩ってなんだろう』
- 詩とはなにか、と聞かれたときに
- これくらいの揺るぎない姿勢をとりたい
④ひとり(木村信子)
ひとりがすきなわたし
ひとりがきらいなわたし
ひとりになりたいわたし
みんなすきなわたし
みんなきらいなわたし
みんなにすかれたいわたし
ひとりになれないわたし
みんなのなかでひとりのわたし
- 出会った場所:谷川俊太郎『詩ってなんだろう』
- この人は詩集読んでみたい
- なんだかすーっと楽になる詩
⑤「木の舟」のための素描(入沢康夫)
乗組員はだれあつてこの船の全景を知らぬ
一つ一つの船室は異様に細長い。幅と高さとかが各3メートルで、長さは10メートルといつた具合に(そして1×1×3メートルといつた狭い室もある)。隔壁はすべて厚い槇の板で作られており、室によつては粗笨な渦巻あるいは直線と弧とを組み合せた抽象図形が彫り付けられてある。そのような細長い室、大小さまざまなそれらが、上下左右前後に連らなり積み重なつて、五十? 七十? その正確な数を知るものはいない。
(後略)
- 全体としてなにかを伝達するための文章ではないので、要約という行為が意味をなさないのである。
- 安倍公房の文章にも似たものを感じる。新聞的な文章。全てが説明的であるのに、カリカチュア的なものも感じる。